AikidoのAI Pentestを、設定・ドメイン検証・仮説生成・Preflight・Escalation・Retest・Request Logs・レポート出力まで、実際のデモ環境(Web/Android)を使って通しで確認する。
「AIにペンテストを任せて大丈夫なのか。人がやるのと何が違うのか」。これは必ず聞かれる。答えを一言で言えば、AIペンテストの強みは「やったことが全部残る」ことにある。どのエンドポイントを、どんな仮説で叩き、通ったのか通らなかったのか。人手の診断では報告書の結論だけが残り、過程はテスターの頭の中に消えることが多い。ここでは Aikido のデモ環境を使い、設定から証拠まで通しで見ていく。
最初に断っておく。以下で使う Pokedex Depot(Web のマーケットプレイス)と VaultPay(Android の決済アプリ)は、Aikido が検証用に意図して脆弱に作ったベンチ用アプリだ。だから Critical が何件、といった件数は普通のアプリの相場ではない。見てほしいのは件数ではなく、仮説の立て方、穴の潰し方、そして見せ方だ。
セットアップは8段階で、順に埋めていくだけだ。



テストユーザーの作り方(Google ログイン+2FA など)は手順が要るので、別記事で扱う。
AI に攻撃させる、と聞くと身構える。実際は逆で、範囲外に手を出せない仕組みが何段も入っている。
ドメイン検証が必須。対象ドメインの所有を、CNAME か TXT レコード、または aikido.txt の設置で証明しないと、最後の「Run Assessment」が押せない。未検証のまま確認画面に進むと「Configuration errors detected」で止まる。他人のサイトを勝手に攻撃させない、という一番大事な歯止めがここにある。

許可ドメインは2段。Attackable(実際に攻撃する)と Accessible(動作確認で接続するが攻撃はしない)を分け、それ以外への通信は遮断される。認証プロバイダやタグマネージャは Accessible に、本体だけ Attackable に、という切り分けができる。

負荷も絞れる。秒あたりリクエスト数の上限と、業務時間外・週末といった実施時間帯を指定できる。本番に近い環境でも、影響を抑えて走らせられる。

実行が始まると、多数のエージェントがそれぞれ独立した仮説を持って動く。Pokedex Depot では60、VaultPay では42のエージェントが立った。
一覧には「Starting assumption(何を疑うか)/対象ファイル/脆弱性の型/担当エージェント/結果」が1行ずつ並ぶ。たとえば「read_file ツール経由で任意ファイル読み取りができるか」「X-User-Id ヘッダの改ざんで認証を回避できるか」といった具合だ。そして結果は Exploitable(通った)か No issues found(通らなかった)で記録される。

この「試したが通らなかった」が残るのが効く。カバー範囲が見えるということだから、「何も出なかった」にも根拠が付く。人手の「特に問題なし」より検証可能だ。
攻撃の前に Preflight が走る。渡したテストユーザーで実際にログインできるかを、スクリーンショット付きで確認する工程だ。Pokedex Depot の例では32秒で「Sign Out / My Products / MERCHANT バッジの存在で認証成功を確認」まで記録していた。

認証設定が間違ったまま攻撃に入れば「何も出ない」のは当たり前になる。それを先に潰してから本番に入る。
穴を一つ見つけて報告して終わり、ではない。Pokedex Depot の password-reset の例では、まず自分で作ったアカウントで「トークン無しでパスワードを変えられる」ことを実証し、続いて同じ手口を組み込みの ADMIN アカウントに向け、管理者セッションを奪って /admin に到達するところまで自動で深掘りしていた。

この昇格の結果、重大度が自動で引き上げられる。ダッシュボードには「Upgraded: Escalation proved deeper impact」と痕跡が残り、Medium だった評価が Critical に上がっていた。影響を実証したうえでの格上げなので、根拠がある。

修正したら、もう一度同じ攻撃をかけて答え合わせができる。Retest では PoC のコードと「Observed Result(実際にどうなったか)」が付き、Pokedex Depot の例では「まだ通る(still exploitable)」ことを確認していた。修正したつもりが直っていない、を機械的に検出できる。

一つひとつの証拠が具体的だ。Request Log の詳細を開くと、1リクエストが Method / Duration / Response コード / リクエストヘッダ / ペイロード / そのまま実行できる curl コマンドまで展開される。CSRF トークンを実際に取得して正規のフローを踏んでいることも読み取れる。
そして全リクエストの User-Agent に aikido-pentest-agent/1.0 (Agent <UUID>) が入る。これで自社の WAF や SIEM のログと突き合わせられる。「Aikido が見た結果」と「自社が受けた記録」の両方が残るのは、人手の診断ではまず得られない。

Request Logs の総量も見える。Pokedex Depot で約5万件、VaultPay で5,380件。単純なエンドポイントは数件、複雑なところは数千件と、リクエスト数の偏りがそのまま「どこを深く叩いたか」を表す。
レポートは相手に合わせて5種類から選べる。外部共有向けにスタック詳細を伏せた Simplified Auditor、全指摘と技術詳細と修正履歴まで載せた Detailed Auditor、経営向けの High Level Management、修正の進捗を示す Post-Remediation、そして RFP やデューデリ向けに「ペンテストを実施した事実」だけを示す Letter of Attestation。監査・経営・取引先で、同じテスト結果を使い分けられる。

機能を見たうえで、最後に値付けに触れておく。テストの実行はクレジット制の有料だが(見積もりとアカウント作成は無料)、初回だけは「Run now, pay later」が使える。保留クレジットを立てて走らせ、条件を満たして High/Critical の指摘が一件も出なければ、その保留分は免除される。
条件は、そのワークスペースで最初のフル評価であること(アプリごとではなく、顧客アカウント単位で一度だけ)・8,000クレジット以下・稼働リポジトリの連携・テストユーザー2つ以上・仕事用メール・設定が正しくテストできる状態だったこと、を全部満たすこと。2回目以降と再テスト、Continuous Pentesting、単一機能に絞ったスコープテストには適用されない。Medium/Low の指摘で「Exploit Further」が使えたのに使っていない場合も、High/Critical に上げられたはずと判断されれば免除されないことがある。詳しい仕組みは別記事にまとめる。
裏返せば、支払いが発生するなら、少なくとも High/Critical の問題が実際のテストで確認されたということだ。予算の説得材料として、これ以上のものはない。
やるかやらないかは、貴方次第。
Aikido Community Japan
公開日: 2026/9/17
最終更新: 2026/9/17
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